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フォークを楽しめる!

題名を見て、パッと分かることですが、『翼はいらない』は『翼をください』に真っ向から反対するような曲。翼があれば現実世界の嫌なことから自由になれるけれど、ゆっくりと地面に足をつけて歩いて行こう、という歌です。

ただ、メロディーは60年代から70年代に流行したフォークソング。歌い方はちょっと古めの歌謡曲ですが、アコースティックギターをかき鳴らす姿はまさにフォーク。

フォークソングは、戦争に反対する左翼の学生の間で大流行した音楽スタイルで、人気どころではサイモン・アンド・ガーファンクルなどがいます。

しかも、MVにはところどころに上條恒彦さんが登場。上條さんは『紅の豚』などの吹き替えで知られていますが、うたごえ喫茶や共産党系の勤労者音楽協議会での勤務を経て、フォークソングを69年から70年代まで発表していた、バリバリのフォーク世代。

歌の冒頭では上條さん自身が歌声を披露しており、AKB側としても真剣にフォーク感を出そうとしている様子が感じ取れます。

. 新曲初披露❤︎ #11月のアンクレット .

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レトロ感がある!

MVと、当時の映像を比較してみると、圧倒的に清潔感が違います。72年といえば、タバコの害がやっと認識され始めた頃で、男女問わず煙を楽しむ時代。しかも、バリケードの中の学生は滅多に家に帰らないので、けっこう汚かったそうです。

もちろん、AKBはアイドルなので清潔感は大切。でも、部室の机の上に灰皿が置いてあったり、スカーフ・バンダナを巻いていたりと、丁寧に再現されています。壁には一面にビラやポスターが貼られているし、市電も昔ながらの横坐り型。

70年代は、ちょうど各地から路面電車が消えようとしている頃でした。72年には、初めてタバコの箱に「吸いすぎ注意」の警告が書かれるようになり、新幹線も各地に整備されていきました。

ゆきりんが演じる、同性愛者が自分を隠すことなく現れるようになったのもこの頃から。60年代の学生運動を率いていたのは圧倒的に男性で(女性の指導者もいますが)、女性の権利や同性愛者の権利に対しては、かなり閉鎖的でした。70年代からは、そういった敷居を超えて、広く訴えかけて行こうという傾向が強くなります。

ただひたすらに古臭い感じにするのではなく、様々な歴史的な出来事や風潮に気を配って作られている、という印象でした。

最初見たときは、「72年」という年に首をひねってしまいましたが、繰り返し見ているうちに、どんどん引き込まれていく深いMV。ぜひ、自分なりの『翼はいらない』の楽しみ方を探してみてください!

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参照→http://realsound.jp/2016/06/post-7878.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/1972%E5%B9%B4
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E6%A2%9D%E6%81%92%E5%BD%A6