『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の主題歌『打上花火』で、米津玄師さんとのコラボが話題となったDAOKOさん。そのDAOKOさんについて調べている時に出会った、「不可思議/wonderboy」。

彼の作ったポエトリーリーディングとはなんなのか。不可思議/wonderboyとは誰なのか。どんな音楽を残したのか。このジャンル、そして不可思議/wonderboyについて詳しく知らないことを承知の上で、彼の音楽についてまとめてみました。

 

まずは、DAOKOさんがラップを重ねた『世界征服やめた』を聴いてみてください。メロディーとDAOKOさんのボーカルが入るまでが前奏のようになっていますが、そうではなく、あくまでも不可思議/wonderboyの音楽があって、そこから連想を広げた歌詞をDAOKOさんが組み合わせている形です。

 

ポエトリー・リーディングとは

60年代後半から流行したヒッピー文化の源流の1つに、ビート・ジェネレーションというものがあります。酒を飲む、ドラッグを吸う、あくもなく旅をする、仏教の精神を学ぶ、そういった体験を通して、魂の底から野生的な詩を生み出す。そして、それをみんなの前で朗読する。

それまでの紙に印刷しただけの詩から、大勢の前で朗読するスタイルへ。そして、音楽に合わせて朗読するあり方へ。日本では、谷川俊太郎さんが音楽に合わせて詩を読んで話題となりました。それがポエトリー・リーディングです。

着の身着のまま好きなように生きるという、ビート・ジェネレーション元来の不良っぽい要素は薄れつつも、ラップよりもあくまでも詩が大切。韻をふむことよりも、味わい深い詩を読むことが大切

そんなポエトリーラップの第一人者と言われたのが、不可思議/wonderboyでした。

 

不可思議/wonderboyとは

不可思議/wonderboyは、2009年に、新宿で行われたスポークンワーズスラム(歌うことより読むことを主とした芸術、スポークン・ワーズの大会)で優勝。

路上ライブ、CD配布、LOW HIGH WHO?からCDを販売しながら、スポークンワーズスラムで優勝経験を重ねます。2010年には代々木公園での野外サイファー(即興ラップ)で、谷川俊太郎さんとの共演を果たしました。

2011年には、谷川俊太郎さんの朗読会に招かれ、谷川俊太郎さんの詩『生きる』をラップにしました。2011年に5月、1stアルバムを発売。翌月6月に、24歳の若さでこの世を去りました

 

不可思議/wonderboyの楽曲

Pellicule

不可思議/wonderboyの楽曲の中で、最も有名なのは『Pellicule』。

『Pellicule』はポエトリーリーディングに慣れていない人にとっても聴きやすい曲です。

不可思議/wonderboyのラップに一貫しているのは、昔みたいに希望が持てなくなっているけど、それが悔しいとか悲しいとかいうよりも、ただただ昔が懐かしく思える、ということ。それでいて、飛び立つ希望を捨てていないのが、心を揺さぶります。

「みんな、いつのまにかいなくなるよな」という言葉が、ついつい死を連想させてしまいます。

ところどころに入る飛行機は、相対性理論の『LOVEずっきゅん』へのオマージュを感じます。

 

世界征服やめた

2009年にリリースされた、相対性理論の『バーモント・キッス』からイメージを広げた、『世界征服やめた』。

『バーモント・キッス』は、夢を追う生活をやめて日常生活に戻る安心感と、寂しさを歌っています。『世界征服やめた』では、会社員に慣れてしまって夢追う生活に戻れないというテーマと、ポエットリーディングを続ける時の苦悩が、同時に描かれています。

「知りたくない」と「死にたくない」、どちらか分からない叫び声が刺さります。

 

風よ吹け

「閉塞感」。そんな言葉では片付けられない、ここから飛び立ちたい、でもそのためには背中を押してくれる風が欲しい。

 

不可思議/wonderboyが実際に、ライブを行った時の様子。『ポエトリーリーディングは鳴り止まないっ』は、神聖かまってちゃんの『ロックンロールは鳴り止まないっ』のピアノの音楽に、自分の経験を乗せたもの。

どうにか生きている、生活の舵(かじ)を取りながら、でも、歌人として多くの人の前でポエットリーディングを披露できること。

『生きる』は、谷川俊太郎さんの詩をラップに乗せたもの。不可思議/wonderboyは、死ぬ時まで生きることについて考え続けました。

 

参照→http://www.lowhighwho.com/wonderboy/
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%82%A8%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0