現在、商品を紹介する手段として、多くの場合、次のいずれかが使われている。

①有名な俳優や芸能人を起用し、テレビで大々的な広告を打つ。伝統的なCM方法。

②インスタグラムやYoutubeで活躍するインフルエンサーを起用し、自由な発想で商品を紹介してもらう。最近、注目されているインフルエンサーマーケティング。

①の方法に限界があるのは、明らかだろう。テレビのCM枠を購入するのには大きな費用がかかるのに、必ずしも若者にはリーチできていない。

一方で、②は費用がほとんどかからないのに、若者の間に購買意欲を高める手法として注目を集めている。しかし、その効果はハッキリとは測定できず、実用性を疑問視する声も大きい。

今回の記事では、韓国のアイドルやアーティストを①や②の方法で起用している、日本企業の事例をご紹介する。自信を持って分析するため、現在でも実際に確認できるCM事例を集めた。

御社が取り扱っているプロダクトの性質やターゲット、広告予算を踏まえて、自社であればどうしたら面白いか、考えていただけると幸いだ。
 

1. Y!Mobile(ワイモバイル)がTWICEを起用

現在、起用するのにイチバン費用がかかりそうな韓国のアーティストは、なんといってもTWICEだろう。全員で9人と人数が多いというのが、理由の1つではある。

しかし、それ以上に大きいのが日本での圧倒的な人気だ。日本人メンバーを3人も抱えているという強みを持ち、日本の10代での人気は圧倒的だ。それだけ効果が高いぶん、起用に必要なコストも相当なものだと予想される。

ソフトバンクの格安SIMブランド、Y!Mobile(ワイモバイル)は、CMにTWICEを起用した。典型的な①の事例だ。

ワイモバイルのCMの優れたところは、なんの脈絡もなくTWICEを起用しているわけではない、というところだ。若者に受けそうだから、という理由で起用したわけではあるのだが、それまでに出していたCMとの整合性が取れているのだ。

ワイモバイルのCMには、それまで起用してきた出川哲朗さんと、公式キャラクター「ふてニャン」が登場する(CM動画はすでに削除済み)。それまでのCMの流れの中に、うまくTWICEが埋め込まれている。
 

2. ABCMART(ABCマート)がBLACKPINK(ブラックピンク)を起用

靴小売大手のABCマートは、CMに韓国の4人組女性ユニットBLACKPINKを起用した。

BLACKPINKは、3人が韓国人、1人がタイ人と、1人も日本人が含まれていない。発表されている楽曲は多くないものの、芸術性の高い音楽とMVは世界で高い評価を受けており、熱狂的なファンも多い。。①の事例だといえるだろう。

ただ、このCMではそれほど高い効果を得ることはできなかったかもしれない。小売業という業種の特性上、1つのプロダクトしかCMで紹介できず、実際に大量の売り上げ増加に結びつけるのが難しい。

むしろ、このBLACKPINKの起用は、新しいCMのあり方の模索だと思われる。ABCマートのCMの今後が、期待される。
 

3. トヨタのハイラックス(HILUX)がDJ SODAを起用

保守的だと思われている自動車業界だが、実は様々な挑戦をしている。それは、CMについても、だ。

トヨタのグローバル部門は、ハイラックス(ピックアップトラック)のネットCMに、韓国の女性DJ、DJ SODAを起用した。DJ SODAは、ヒップホップを得意とするパーティーDJで、東南アジアで人気が高い。

ピックアップトラックというちょっと特殊な車種、そして日本ではあまり知られていないアーティスト。意外な組み合わせだが、これからもトラックの需要が増えていくと考えられる東南アジアへPRするとしたら、ピッタリなのかもしれない。

DJ SODAの起用は、②のインフルエンサーマーケティングの事例に近い。その効果は、次の2つの動画の再生回数の違いに現れている。

 

上のトヨタの公式チャンネルから投稿された動画が1万回程度しか再生されていないのに対して、下のDJ SODAのチャンネルから投稿した動画の再生は40万回近い。

加えて、DJ SODAは自身のインスタグラムアカウントからも投稿している。Youtubeをチェックしていない層にもアピールできるのだ。
 

4. 資生堂が元少女時代のジェシカを起用

美に国境はない。日本で韓国コスメが高く評価されているのと同じく、韓国でも日本の化粧品は数多く取り扱われている。

美容最大手・資生堂は、韓国での売上向上のため、少女時代に所属していたこともあるジェシカを起用した。ジェシカはSMエンターテインメントを退社した後、パートナーと共に事務所を立ち上げ、活躍を続けている。
 

🌹 • • @shiseido

ᴊᴇssɪᴄᴀ ᴊᴜɴɢ🍒さん(@jessica.syj)がシェアした投稿 –

日本では売れている製品でも、韓国で同じようなCMを打っては、消費者には訴求できない。日本人にとっての韓国人芸能人以上に、韓国人にとって、日本人の芸能人は縁遠い存在だ。グローバル化が進んでいる中でも、CMの現地化は欠かせない。

日本企業、外国企業を問わず、グローバル化を過信している風潮がある。インスタグラムやYoutubeを通して、海外の人との間は狭まった。だからといって、現地マーケットのリサーチ・カスタマイズの重要性が薄れたわけではない。

いかがだっただろうか。御社の宣伝戦略・戦術の参照になれば、幸いだ。

トップ画像→Norbert Levajsics(Unsplashから)



カテゴリー: K-POP企業様向け