【はじめに】
筆者は、今月2月の半ばから中国への留学を予定していましたが、先方からコロナウイルスの流行のために新学期を遅らせるという連絡を受け、現在、東京で待機しています。

こうした事情があり、コロナウイルスの状況への関心が強いです。日本のメディアでは読み取れない情報が多くあるので、英語のメディアを中心にコロナウイルスの流行状況や様々な問題について取り上げます。

 

現在、ツイッターを見ると、政府への批判が日に日に高まっているようです。何人かの専門家によれば、コロナウイルスの流行小規模で収まるはずでしたが、現在も患者は増え続け、死者も増え続け、世界中で危機意識が高まっています。

中国では製造業がまだまだ停止しており、北京ではレストランが倒産の危機にあえいでいます。大手の投資銀行は、中国の2020年の成長率予測を下げ、この流行が経済に大きなインパクトを与えと予想しています。

一方、日本にとってもこの流行は他人事ではありません。1月下旬から武漢の日本人の引き上げ、第4弾の引き上げでは中国人配偶者の受け入れも実行。一方では、横浜港でダイヤモンド・プリンセス号が隔離されており、3600人ほどの人々が閉じ込められています。

こうした状況を受けて、SNSでは様々な”政権批判”が繰り広げられています。今回の記事では、そんな保守層からの批判を中心に、でもリベラルからの批判も取り上げつつ、そうした批判が無視している”不都合な真実”を明らかにしていきます。基本的には、政権に批判的な筆者が読み解くので、それなりに読める記事だと思います。

今回の記事では、人権や差別の問題などに触れることは触れますし、とても大切な問題です。ただ、今回は主張の不合理さ、実現の不可能さに注目していきます。

人権や差別の問題については、下の記事で事例を扱っています。
 

 

中国からの入国を全面禁止をすべきか? 経済を度外視しないで

 

 
ダイヤモンド・プリンセス号の隔離についての投稿でよく目にしたのが、”船には厳しいのに、中国からどんどん観光客が空から入ってきているじゃないか!”というものでした。

確かに、日本は中国からの観光客について、”湖北省を訪れてから2週間以内、あるいは湖北省で発行されたパスポートを持っている者”の入国を禁じているだけで、他の国と比べれば制限が緩いともいえます。

例えばアメリカでは、14日以内に中国本土(香港・マカオ以外)を訪れた外国人の入国を禁止しています。もちろん国籍によって差別しているわけではありませんが、”中国本土を訪れてから2週間以内の外国人”は、ほとんど中国籍の人を指すので、実質的には中国人の渡航が禁止されている状態です。

ただ、これを根拠として政府を批判している人には、アメリカと日本の違いを知ってほしいと思います。

まず、2018年にアメリカを訪れた中国人は、300万人だけでした。ところが、同じ年に日本には840万人近い中国人が訪れています。外国人渡航者全体に占める中国人の割合は、アメリカではわずか4%なのに対し、日本では27%ほどに達しています。もちろん、台湾をはぶいて、これだけの数・割合です。

これを見ただけでも、日本の観光業(飲食業、ホテル)が中国人観光客に依存しているかが分かると思います。日本人観光客の方がまだまだ多いアメリカとは、まったく事情が違っているのです。

基本的には中国からの観光客は制限しない、という政府の方針は、まず経済的利益を大切に考えているのであって、そこを理解できないと、建設的な批判もできないと思います。全面禁止を主張するなら、それによって受ける経済的ダメージを補う方法を提案すべきです。

湖北省籍だけの制限では不十分だとする根拠として、”湖北省に戸籍のある人が、広東省でパスポートを発行してもらって入国した”というネット上の投稿を挙げている人がいます。確かに、こうした抜け穴があるなら、湖北省からの渡航客をうまく規制できていないといえそうです。

ただし、これは根拠として薄弱すぎます。中国の法制度には詳しくありませんが、日本ではパスポートは戸籍のある都道府県で発行することになっており、中国でもこの制度はあまり変わらないと思います。

また、もし流行発生後に湖北省から渡航してきた人がいたとしたら、それは確かに問題ではあります。ただ、少なくとも流行が明らかになってからは、武漢発行のパスポートに対してビザは発行されていないので、どちらにしても影響はほとんどないと思われます。

武漢からの帰国者に検査は強制できた?

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