検疫・隔離は一切不要なのか?

 

 
最近、強制隔離は一切不要で、国内で感染した後の対策を考えるべきだとする意見が多く出されているようです。中でも発言力があるのは、上昌弘先生という医師の方です。

この方は、横浜港に停泊しているダイヤモンド・プリンセスについて、隔離が長引くほど患者は増えている、陸地での検疫も不要である、発症してから対応しても大丈夫であり、発症した後の対策を講じれば良いと主張されています。

東大医学部を出ていらっしゃるようなので、医学的にはおそらく正しいでしょう。確かに日本の医療は整っているので、もし感染したとしても、生命の危機に直面することはなさそうです。専門家の発言を素人が否定してはいけない、というのは鉄則なので、今回はその実現性の観点、他の措置との関連で疑問を挙げたいと思います。

1つは、武漢や湖北省で行われている都市封鎖、強制隔離・検疫措置との整合性です。この地域では、人や物資の移動が厳しく制限されており、適切な医療が受けられず、亡くなる方が増えています。もし、武漢が封鎖されていなければ、患者は周辺の地域の病院で適切な治療を受けられたかもしれません。強制的に隔離することで、多くの人命が失われています。

しかし、問題はWHOがこの措置を正当化し、評価しているということです。隔離をしなければ、中国全土でさらに多くの人が感染してしまったかもしれないという見方です。WHOは、ダイヤモンド・プリンセスの隔離についても、乗客が耐えている環境の悪さは批判しているものの、船上での隔離を否定しているわけではありません。

このWHOの見解を否定する根拠が、素人でも理解できる形で示されていません。隔離が必要ではないなら、別に検査キットを配布する必要もないのでは、と思ってしまいますが、不思議なことに感染を疑う人には検査を無料で受けられるようにすべきだとも主張されているようです。

2つ目に、これは私が東北出身なこともありますが、医学的な見解を重視するあまり、実現性が考慮されていないこと、生きた発言ではないことが気になります。上先生は福島での原発事故の際にも、除染が必要ではない、原発の付近でも線量計を設置して生活すれば良い、という趣旨の見解を明らかにしていました。

確かに、科学的には放射線量は人体に影響があるレベルではないですが、そう科学的に証明されたからといって、自宅に帰るかどうかは個人の判断です。放射線に対して無理解な危機意識や科学的ではないデマが出回る中で、一方では帰還しない人を、そうしたウソを信じ込んだ人として批判する声もあり、かなり気にしていました。

確かに、船の乗客や武漢からの帰還者を危険視するのはバカげている、不合理的だ、と私自身も思います。隔離を短くして全員検査を実施し、母国、自宅に一刻も早く帰れる体制作りが望まれます。特に、家族を祖国においてきて、隔離されてもなお働き続けなければならない乗員は、本当につらい思いをしています。

ただ、危険だと考えてしまっている人が大多数なのも事実です。それでも、政策として提言するなら、どう国民を納得させていくかを含めないと、ただのエリートの問題提起、で終わってしまうと思います。
 

 
 

今後も逐次情報を発信していきたいと考えていますが、関心のある話題があればぜひ知らせてください。



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