無謀な航海計画と受け入れ先探し

 

(東アジア経済の中心地の1つ、香港)
 
運行会社は、ダイヤモンド・プリンセスと違ってウエステルダムには感染者はいないと主張していますし、一見、ダイヤモンド・プリンセスと比べても受け入れられる余地は大きいように思われます。

ただ、ダイヤモンドがまだ25日(すでに武漢は封鎖されていた時期ですが)に香港に到着したのに対し、ウエステルダムはすでに流行が世界中で危機感を持たれていた2月1日の出航であり、当然、香港も入国禁止に入れられる危険を認識しているべきでした。

日本に立ち寄るはずだった船を受け入れ拒否したのは冷たく感じてしまいますが、まずはダイヤモンド・プリンセスへの対応と徹底した検疫が優先です。

ツイッター上では、ホラント(オランダ)という名前からか、「Flying Dutchman」(神に呪われて永遠にさまよい続けるオランダ船)と呼ばれているようです。さすがに不謹慎ですが、受け入れ国がまったく見つかっていないのは事実です。

一部の乗客からは、中国に滞在した乗客がいないという条件付きで、ベトナムが受け入れるかもしれないという情報もありますが、ベトナムがこれだけの人数を隔離できる設備を持っているとは思えないので、あまり現実的ではありません。

ハワイまで行けば、確実な受け入れが期待できそうですが、そこまで燃料が持つのかは定かではありません。一説では、出発地のシンガポールに戻ると見られており、これはありえそうですが、すでに多くの患者を抱えている都市国家、シンガポールにとっては大きな負担になるかもしれません。

[追記] 運行会社のアナウンスによると、ウエステルダムは2月13日に、タイのバンコク近くの港で上陸することが許可されたようです。

タイの人たちのツイートをチェックしてみると、”日本はダイヤモンド・プリンセスに集中しないといけないし、周りの国に比べると、タイは衛生設備が充実しているから”、”タイ人は親切です”、”おいで、おいで”と歓迎ムードです。

ただ、”豊かな国ではないから検疫ができるか心配”という声もあります。その通り、まだ経済がそれほど発展していない国でもあるので、船会社が素早く費用の支払いに応じることが求められます。

[追追記] タイの健康当局は、ウエステルダム号の入国を禁じたそうです。ただ、タイにも自国民を守る責任があり、日本も同じ措置を取っているので、責めることはできません。
 



 

パスポートによる判断は国籍差別ではないか?

 

(Asia Timesより)
 
こうしたなか、ロイヤル・カリビアン(Royal Caribbean)というフロリダ州・マイアミの会社の船が、中国人の乗客がコロナウイルスに感染している可能性があるということで、大きなトラブルになりました。結果として、この船の着岸は許可されて、4人だけが病院に運ばれて残りの乗客は解放されたのですが、これに懲りたのか、かなり厳しい措置が導入されることになりました。

まず、国籍に関係なく、2週間以内に中国・香港・マカオに渡航した人、またその人と濃厚接触した人の乗船を禁止。また、中国・香港・マカオのパスポートを持つ人の乗船を一律に禁止しました。また、ノルウェージャン・クルーズ(ノルウェーではなく、同じくマイアミが本社)も同じように中国・香港・マカオのパスポート所持者を乗せないと発表しました。

確かにコロナウイルス騒動に巻き込まれたくないのは理解できますし、これからしっかりしたルール作りが必要ではありますが、これは明らかに人種差別です。中国に渡航した期間を2週間以内から1月に伸ばすなどの方法で対応できるのに、安易なやり方に頼ったと思われます。

アメリカに住む中国系の人の中には、アメリカ国籍を取った後に両親を呼び寄せて暮らしている人もいるようです。彼らは何年も中国に帰っていないのに、香港や中国のパスポートを持っています。明らかに他のアメリカ人と条件が同じなのに、国籍だけで差別するのは現代的ではありません。

さらにこうした差別は、アジア系の現地人や現地に住む日本人にとっても他人事ではないと思います。アジア系の顔をしているだけで国籍を疑われ、不愉快な扱いを受けかねません。

こうした取り扱いに対して大きな非難が上がらないのを見ると、自由の国アメリカは、危機の中で本当に大切なものを見失っているのではないかな、と思わされます。

しかも、これはトランプ政権の責任ではありません。トランプ大統領は習近平主席と会談して激励し、ポンペオ国務長官は中国に1億ドルの資金提供を申し出ています。

こうした動きを見るにつれ、アメリカのナショナリズムの高まりをトランプのせいにしてきた、身の回りの小さな差別に目をつぶってきたツケが回ってきたように思われてしまいます。

一方、台湾や中国人のYouTuberたちによれば、日本人はコロナウイルスへの危機感が薄いのは問題だが、中国人だからという理由で差別をすることはほとんどない、と評価してくれています。もしかしたら、中国人観光客お断りを掲げただけで批判が殺到する日本の方が健全なのかもしれません。

今後も健康には万全に配慮した上で、香港を含む中国への不要不急の渡航は避けつつ、不適切な差別を設けないように気を付けていきたいものです。
 

 

今後も逐次情報を発信していきたいと考えていますが、関心のある話題があればぜひ知らせてください。



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