キャリー・ラム政権の政策

現在の香港の行政長官を務めるキャリー・ラム氏は、基本的に中国本土と良い関係を保ちたいと考えているようです。今回のコロナウイルス流行に際しても厳しい対策は取らず、中国を刺激しないように気をつけています。

しかし、民主派はコロナウイルスの患者が香港で次々と見つかっている現状に苛立ち、中国本土との境界を閉鎖するように求めました。それでもキャリー政府は、穏健な態度を取り続けました。

1月31日、キャリー氏は”中国との境界全面封鎖は、差別的だ”と指摘し、全面的な封鎖はしないと発表。ただ、フェリーと鉄道は一時閉鎖し、車やバスによる入境のみを認めるという改善は行いました。

ただ、入境規制については、湖北省からの入境者については隔離することを発表しただけで、際立って厳しい規制とはいえませんでした。

この決定には仕方ない側面があります。現在、中国でもっとも発展している地域ともいわれている経済特区、深センには多くの香港の会社が進出しており、数多くの香港人がマネージャーとして働いています。彼らの移動を制限すると、香港の経済にとって大きなマイナスになってしまいます。

その後、香港では患者の数が増え続け、病院の労働者たちは中国本土との境界を封鎖し、これ以上のコロナウイルスの流入を食い止めるように訴え、ストライキを起こしました。2月に入ってからは死者まで出てしまい、さらなる規制の強化が求められるようになりました。

また、香港では住民が自主的に本土から到着した人の検疫を行うようになり、危機感が非常に高まっていました。
 

満足できる封鎖措置

そこで2月3日には、残る13箇所の検問所のうち10箇所を閉鎖することが決定されます。閉鎖は2月8日から始まり、香港国際空港、深セン湾港、香港・珠海・マカオ連絡橋以外からの本土との行き来は禁止されます。

また、本土から香港に入った中国籍・外国人はホテルか、政府の用意した隔離施設で、香港人は自宅で14日間、自主的に隔離することが求められます。これに違反した場合、35万円程度の罰金と6ヶ月の懲役が課される可能性があります。

つまり、8日以降に香港に帰ってきた場合、14日間は家から出られず、仕事もできない状態になります。それでは困る、ということで多くの香港人が家に帰ろうと、7日の夜に検問所を訪れたようです。

こうした制限は、”香港と本土の完全な封鎖”を訴えていた医療労働者たちの要求に、完全に答えられているわけではありません。しかし、実質的に本土との行き来が大幅に減少できるということで、多くの労働者は納得し、ストライキをやめて職場に復帰しているようです。
 



 

封鎖に翻弄される人々

こうした措置によって、困った状況に陥っている人も多いようです。

SCMPでは、封鎖を忘れていて、家から出られなくなってしまった70代の老人の話を載せています。タンというこの老人は、ついつい車で深セン側に入ってしまい、検問所でUターンしたいと申し出たものの、認められず、家に閉じこもることになってしまいました。

これは自業自得ですが、ビジネスにもマイナスの影響が出そうです。

すでに述べたように、深センでは多くの香港人が働いています。この封鎖によって、彼らは家族と一緒に香港で過ごすか、それとも職場のある深センにとどまるか、厳しい選択を迫られたようです。

ただ、深セン自体も検問所を設けて、周囲の都市から入る車を規制する、事実上の封鎖措置に入っているので、香港がやりすぎというわけではありません。香港、深センの二大都市が封鎖されてしまったことで、中国のテック業界にとっては大きな試練となります。

また、7日の夜に検問所に人が殺到したために、かえって感染が拡大してしまったのではないか、とする見解もあります。人混みでは感染が起こりやすいため、もう少し慎重な措置が必要だったかもしれません。
 
すでに香港は危険!?

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