最近、日本と韓国の関係がとても悪いことには、多くの人が気付いているかな、と思います。

日本が韓国を「ホワイト国」(名前が変わったらしい)から除外して以来、韓国では日本製品の不買運動、さらには日本に対する対抗措置が取られていて、どんどん引き返しのつかないところまで来ているようです。

さて、私は、8月初旬に韓国を旅行してきました。韓国旅行といえば、普通はソウルかプサンだと思いますが、今回は思い切って、プサンからソウルまでバスで移動してみました。

そうすると、テレビでは分からないこと、さらには韓国大嫌い・韓国大好きの人が発信する情報だけでは分からない、リアルな市民の意識を見ることができました。

今回の記事では、そんな韓国、その中でもちょっと独特の政治意識を持つ街、「光州」の様子をお伝えしたいと思います。
 

リベラル左派の街「光州」

 

 
韓国では、昔から地域によって力の強い政党が違う、と言われてきました。今回、私が行った光州は、上の地図では左下、つまり南西部(全羅道)の街です。

ここでは、昔から中道左派、つまり現在の韓国の与党である「共に民主党」の勢力が強い人気を集めてきました。

もともと韓国の民主化運動のリーダーをしていた金大中が、この地域の出身です。そして、現在の与党は、金大中の部下や後輩によって率いられているので、引き続き強い支持を集めています。

一方、右下の地域(慶尚道)では、昔から保守派が強いと言われてきました。朴槿恵のお父さん、朴正煕(パク・チョンヒ)、また民主化運動の活動家ではあるけれど、保守的だった金泳三(キム・ヨンサム)がこの地域の出身です。

ところが、2018年の統一地方選では、この地域に限らず全国で「共に民主党」が勝利し、もはやこの構図は消えてしまったのかな、と思っていました。

もともと保守的だったプサンでも、日本人お断りの店が出たという情報が出てきて、日本人観光客が多い街なのに、何やっているんだろうなあ〜と思っていました。

怪しい情報だな、とは思っていたのですが、実際、プサンで日本人お断りの店は一軒も見ませんでした。日本語が話せる人も多く、すごく日本人に親切なプサンで、そんなことはないと思います。

プサンの観光スポット、国際市場(クッチェシジャン)にも、人数はかなり減っている印象ではあったものの、日本人観光客がたくさん訪れていました。

さらに驚いたことには、不買運動のポスターが一枚もなく、道端で立って叫んでいる活動家も一人もいなかったことです。

こうした印象を持って、光州に行った私は、あまりにも街の雰囲気が違うことに驚いてしまいました。
 

街中に並ぶ不買運動のポスター

 

 
光州の中心部にある商店街に入ろうとしたところ、商店街の自治会が作った横断幕が、ぶら下げられているのに気付きました。それが上の写真です。

「買いません、行きません。過去事(歴史問題)への反省がない、日本政府の経済報復を糾弾する!」

これくらいであれば、メディアで見るような内容だし、あまり驚きもなかったのですが。
 


 
このような小さなポスターも、大通り沿いに所狭しと貼ってあったのは驚きでした。

「日本の経済侵奪、アメリカの武器売りつけ 自主と平和統一が答えだ 民主党 〇〇(名前)」

このように、与党の党員の名前が書かれたポスターが通りに並んでいる様子は、少し戦時中の日本に似ていました。
 


 
東北に長く住んでいた人間として、腹が立ったのはこのポスターです。

1の「うちの商店街は、36年間日本製品を売ってきませんでした」も、「36年間」という数字がインパクトが強くて、おもしろいし、3の「政府は、日韓秘密軍事情報協定を破棄しろ!」も、ありふれたセリフです。

しかし、2の「親日派、土着倭寇、安倍追随派を福島へ!」という言葉は、さすがにコンプライアンスのかけらも感じず、ただただ不快でした。

保守系政治家を批判したり、日本政府を批判するのは構いませんし、原発事故によって迷惑をかけられていると思うのも勝手です。タブーだとも思いませんが、子供だな〜と思ってしまいました。

また、周囲の街中や公園では、活動家の人たちが一生懸命チラシを配っていました。私も一枚もらいましたが、日本への批判よりは、保守的な野党への批判が多かったように感じました。
 

現在の韓国は「反日」?

結局、3枚目の写真が貼ってある、古い商店街のお店で冷麺を食べることにしたのですが、日本人だと分かっていても、とても親切な接客でした。

前菜でキムチや漬物が出てくるのは普通ですが、魚の煮付けやカニの足も出してくれて、食べ方が分からない様子の私の代わりに、カニの殻を取ってくれました。すごく美味しいわけでもなかったのですが、心が温まります。

それだけに、やや苦い気持ちが残りました。
 

 
また、気になったのは、いつのまにか慰安婦や徴用工の問題ではなく、日本の「経済侵略」がメインの問題になっていることでした。

個人的には、日本政府は戦争時代に苦しんだ韓国人に対して、十分な補償をできていない、あるいはしたと思っていても、相手が納得できるような説明や対応をしていないと思っています。

しかし、日本が韓国の経済を「侵略」、「侵奪」しようとしている、統一を妨害しようとしているとまでは思いません。

1919年の3.1運動と、2019年の不買運動を重ね合わせるような内容のポスターもありましたが、正当性も、内容も、国際的な流れも違います。同じスケールで考えて良いような出来事ではありません。

いつのまにか重要なことが忘れ去られ、空虚なナショナリズムが盛り上げられているように感じます。

とはいえ、こうしたポスターは光州、全州では多く見かけましたが、プサンでは見ませんでした。ソウルでは用事があり、明洞などの市街地を訪れる時間がなかったのですが、光州ほど大々的にやっているということはないでしょう。

ソウルの中区では、「BOYCOTT JAPAN」のポスターに反対の声が出て、貼り付けが中止になったように、日本と交流の深い人々はもっと冷静です。

光州の人々だって、みんなが日本に冷たいわけではありません。一人一人と接すれば、温かい人々ばかりです。それは日本だって同じでしょうが、一方で雰囲気に飲まれる、流される点はどちらにも共通しています。

この記事を読んでくださっている方の関心のある点は、韓国に旅行しても安全かどうかだと思います。

結論から言うと、韓国旅行は安全です。また、光州を訪れるのも決して危険ではありません。

ただ、正しいとはいえない方法であっても、真剣に活動している活動家を挑発したり、あるいは興味や共感からであっても、不用意に話しかけるのはやめたほうが良いかもしれません。
 

日本はどうなのか?

一方で、日本政府のホワイト国除外は、かなり広い層から受け入れられているようです。与党支持層に限らず、野党支持者からも賛成の声が上がっています。

特に、中年の人々、そして10代、20代の男性の支持が強いようです。

私自身は、正しいのかどうなのか分かりません。「分かりませんでは済みません」と言われそうですが、政府の態度に疑問があり、納得できないからです。

もともと、韓国が北朝鮮に対して軍事転用可能な製品を勝手に売っているから、というのが理由として挙げられていました。

これが事実であり、これだけが理由となって除外を決めたなら、理解できます。核兵器を放棄していない北朝鮮に、軍事兵器を売るのは国際的に禁止されているからです。

でも、実際には徴用工の判決、あるいはWTOでの東北の水産物輸入禁止措置の正当化、などが理由であり、その報復としてやっているようにしか見えません。

さて、ネットでは、国際社会では日本の立場が支持されていて、韓国は無視されているというような主張がよく見られます。本当でしょうか?

アメリカのビジネスパーソンが読む雑誌、Forbesの電子版は、こんな記事を出しています。
日本の措置が招いた韓国の不買運動、ユニクロにも打撃

この記事では、日本の半導体原料の輸出規制が、韓国の反日的な不買運動を招いた、としています。

ユニクロは安く、品質も高いと韓国人は知っているけれど、それでも日本の措置が不当だから、仕方なく不買をしている、というようなニュアンスです。

アメリカの経営者たち、エリートたちにもこのような認識が広がっているとするなら(1つの記事だけで決めつけるのは危険ですが)、少なくとも日本政府の説明に問題があるということになります。

アメリカ政府も、別に日本を積極的に支持しているわけではないと思います。どちらもアメリカの同盟国なのに、グダグダと揉めるな、お互い大人になりなさい、と言っているだけなので、都合よく解釈することはできません。

輸出規制によってダメージを受けるのは、韓国だけではなく、日本のビジネスでもあることをしっかり認識して、措置を変えるなり、納得できるような説明をするなりしてほしいな〜と思っています。

日韓関係に関心がある方は、ぜひ木村幹先生の記事も読んでみてください。



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