かねてから、NCT China設立が噂されていましたが、とうとう今年2019年1月、NCTの中国チームがデビューしました。その名は「威神V(WayV)」(読み方:ウェイシェンブイ)!

メンバーはSMエンターテイメント所属の7人で、威神VはSMと中国現地会社の合弁レーベルである「LABEL V(威 娯楽)」のマネージメントの下で活躍しています。

今回の記事では、そんなWayVがどのような経緯で結成されたのか、デビューまでにどんな苦労があったのかなど、WayVの知られざる歴史に迫っていきます!(筆者:王府井夫人)
 


 

「NCT」じゃない理由は政治と関係?

これまでのNCTプロジェクトは、「NCT 127」「NCT DREAM」「NCT U」といったように。「Neo Culture Technology」の頭文字である「NCT」の3文字をグループ名に冠していました。

「NCTの派生グループであるのに、なぜWayVには「NCT」がつかないのか?」と思ったシズニー(NCTファンの呼称)も多いかも。

実際、中国チーム結成の噂の段階では、「NCT VISION」が商標登録されていた事実もあり、次のグループ名は「NCT VISION(ビジョン)」になるだろうと多くの人が予測していました。

ここで、昨今の中韓文化交流を揺らがす「限韓令」が関わってきます。これは、2016年に韓国が北朝鮮のミサイル攻撃対策として、THAADミサイル(アメリカ製の迎撃ミサイル)配備を決定したことに起因しています。

この配備に反発した中国は、韓国への渡航を規制したり、韓国芸能人のメディア出演をビザの方面から制限するなどの対抗措置を今でも続けています。

「K-POPグループの中国大陸市場進出」は、SMにとっての悲願であり、持っているスキルのすべてを生かしたプロジェクトでした。

だから、政治的なトラブルを避けるために、SMは、“韓国の大手芸能事務所であるSMエンターテイメントからの新人グループ”であることを積極的に打ち出さない方針を取ったようです。

こうした政治的な理由に加えて、ただでさえ中国はK-POPの進出が難しい地域だという事情もあります。SMは、威神Vのために現地に合弁レーベルをも設立し、中国市場制覇のためのローカライズ化を図ろうとしています。

ただ、NCTっぽさが完全に隠されているわけではありません。威神Vの公式インスタグラムのプロフィール欄を見ると「We are your Vision.」と書いており、その頭文字を取って「We Are Your Vision」=WayVと名付けられていることが伺えます。
 


 
また、デビューデジタルアルバムのリード曲『理所当然(Regular)』は、NCT127が2018年10月にリリースした『Regular』の中国語バージョンです。

随所にNCTの要素が散りばめられており、NCTプロジェクトの中国ユニットであるという関連性が感じられて、シズニーの私としては少しほっとします。
 


 




 

超個性豊かなメンバーたち

また、メンバー構成も特徴的です。WayVは、NCTプロジェクト内で長らく育成し温めてきた人員を選抜した、韓国人メンバーのいない完全中国系グループとなっています。

既存NCTメンバーであるお馴染みのテン(TEN)、クン(KUN)、ルーカス(LUCAS)、そしてNCT 127にも所属しているウィンウィン(WINWIN)に加えて、SMルーキーズだったシャオジュン(XIAOJUN)、ヘンドリー(HENDRY)、ヤンヤン(YANGYANG)の計7人。

こうしてみると、あまり多様性がないように思えますが、実はメンバーのバックボーンのバラエティはとても豊かです。中国出身のクン(福建省)、ウィンウィン(浙江省)、シャオジュン(広東省)は中国語(普通話)に加えて、自分たちの地域の方言を話します。

また、タイと香港のハーフであるルーカスは中国語(普通話)はあまり得意ではなく、広東語と英語とタイ語を使っています。ヘンドリーはマカオの出身で、ヤンヤンはドイツ育ちの台湾人、テンはタイの華裔であり、中華圏の多文化が威神Vという小さな共同体に凝縮されています。

もちろんメンバーは韓国で練習生経験を積んでおり、今でもソウルにある宿舎を活動拠点にし、普段は韓国語を使って生活しています。

そのためメンバー全員がマルチリンガルという最強のスペック集団であり、今後そういった多彩な言語能力を活かし、様々な国で活躍することが期待できます。現にヤンヤンは既にドイツWebメディアのインタビューを受け、現地の人々に歓迎されていたり、中国語がどんどん上達しているテンは、母国タイでの料理番組出演も果たしています。
 


 
さらに、中国の様々なテイストのイケメンを集結させた、ビジュアルの華やかさからも目が離せません。

K-POPグループに多い、鮮やかな明るい髪色や中性的なメイクが多いスタイリングとは違って、WayVは、「ナチュラル」「素材を活かす」「男らしさ」「暗髪短髪」で顔立ちの良さを表現しています。

全員がセンター級を張れるほどのルックスというのも、今までの既存グループとはまた一味違っています、威神Vの7人は、SMが放った最強の布陣と言えるのではないでしょうか。

すでに、WayVのメンバーたちには中国の数々のファッション雑誌から声が掛かり、表紙巻頭を飾っていたり、ハイブランドやコスメのイメージモデルを務めたりしています。
 





 
もちろんビジュアルだけでなく、彼らの音楽やパフォーマンスも世界中から注目を集めています。

デビューデジタルアルバム「The Vision」のリード曲『理所当然(Regular)』では、ビルボード「ワールドデジタルソングチャート」3位、「ソーシャル50」4位、12の国と地域でiTunesシングルチャート1位を獲得。

5月には初のミニアルバム「Take Off」を発売し、iTunesアルバムチャートでは30の国と地域で1位を獲得し、自身が『理所当然(Regular)』で打ち立てた中国グループ史上初の快挙を更新しました。
 


 
そのリード曲『無翼而飛(Take Off)』は、強烈なトラップと中毒性のあるクラブベースラインで構成された、アーバンスタイルのダンス曲となっています。

NCT随一のダンス王ともいわれている、テンをセンターに構えた2:36~からのブレイクダンスは、特に必見です。

メンバーはインタビューでこの部分について、「ブレイクダンスでは見せ場だからと力んだ振付が多い中、この曲は抜け感のある、力を入れないように見える振付が取り入れられていて、おもしろかった」と語っています。

楽曲にマッチした振付は、数々のSMアーティスト曲を手掛けてきた“SWAG”の代名詞、RIEHATAによるもの。簡体字の漢字フォントが印象的なMVは、BTSの『Lights』やZion.Tの『멋지게 인사하는 법』などを手がけたGDWの作品です。
 


 
また、中国語でしか聞けない「SMサウンド」というのも新鮮です(EXOは同じ曲を2か国語で発表していました)。

K-POPを聞き慣れている人にとっても、オシャレなK-POPサウンドと、子音が多い中国語の語音との融和性はバッチリで、新鮮さを感じながらも、耳にとても心地よくてついつい何度も聞いてしまいます。

「我发现不明飞行物体(僕は未確認飛行物体を見つけた)」や「像神秘的不存在的信号(神秘的な存在しないシグナル)」など、歌詞の漢字から曲の雰囲気を掴めるのもひとつの楽しみ方です。

ちなみに『理所当然(Regular)」の歌詞には、「这城市的主人公 CT之前N为首(この街の主人公 CTの前にNから始まる)」という一行があり、ここにも「NCTスピリット」を感じられます。
 


 
そんな威神Vですが、8月からは中国のYoutubeとも呼ばれる「优酷(Youku)」にて、彼らのリアリティ番組「少年威计划/Dream Plan」が放映開始されます。放送は週に2度(火・日)であり、威神Vの共同生活が垣間見れる番組になりそうです。

威神Vオフィシャルの「Reinbow-V」や「WayV-log」では、メンバーの素の様子が少しずつ公開されていますが、この番組ではさらに一歩踏み込んだメンバー同士の生活が見れそうだ。日本でもアプリなどから見れるそうなので、暑い夏の合間にチェックしていただきたいです!
 


 
SMエンターテイメントのイ・スマン会長は昨年、各国でのビジネスサミットで、K-POPをアジアが誇るエンタメコンテンツとして世界に広め、「東洋のハリウッド」をアジアに形成する、という夢を語りました。そして、その事業の柱である「NCTプロジェクト」をグローバルアイドルブランドとすべく、各地域チームを次々ローンチしていく構想だと発表しています。

ベトナムやインドネシアではすでにオーディションが行なわれ、「NCTベトナム」「NCTインドネシア」チームの準備も着々と水面下で進められているようです。今年の6月にはニューヨークで、5年以内に「NCTハリウッド」を作り、アメリカ市場参入すると示唆し、世界各地に「NCTブランド」を拡大させていく狙いが見えます。

また昨年の「第五回韓中経営大賞」では、「SMは世界最高レベルの韓中融合文化を作っていく」と声高々に宣言。

会社にとって重要な事業ビジョンの第一弾として、会社の期待を一身に背負って、発表されたNCT中国人チーム、WayV。「中国人による中国語で歌うK-POPグループ」が中国市場をどう制覇していくのか、今後も目が離せません。



カテゴリー: K-POPアーティスト